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オペラヴィジョンで「ロデリンダ」を見た

 本日は箸休み的な記事です。

 ヘンデル作曲の「ロデリンダ」をオペラヴィジョンで見ましたよ。例によって、スタッフ&キャストを書きます。

 演出:ルース・ナイト
 指揮:ピーター・ウィーラン
 管弦楽:イングリッシュ・コンサート
 製作:ガーシングトン・オペラ(2025年7月8日)

 ロデリンダ:ルーシー・クロウ(ソプラノ)
 グリモアルド:エド・ライオン(テノール)
 ガリバルド:ブランドン・セデル(バス)
 エドゥイジ:マービック・モンレアル(メゾソプラノ)
 ベルタリド:ティム・ミード(カウンターテナー)
 ウヌルフォ:ヒュー・カッティング(カウンターテナー)
 フラビオ:ニコラス・サービン(黙役)
 グンデベルト:ウィル・ホドソン(黙役)

 まず、製作しているガーシングトン・オペラですが、ここは常設のオペラカンパニーではなく、夏にイギリスのオックスフォードシャー郊外で行われる野外オペラ音楽祭の名称です。イギリスのオペラ音楽祭としては、グラインドボーンに次ぐ歴史あるオペラ音楽祭なんだそうです。現在は、石油王ゲッティ・ファミリーが所有する「ウォームズリー・パーク(個人の私邸)」に、オペラ音楽祭の会期中は、客席数600のガラス張りのパビリオンが建てられ、そこで毎年4作品のオペラが演じられるのだそうです。ちなみに観劇には、イブニング・ドレスにブラック・タイというドレス・コードが健在しているそうです。まあ、イギリスの上級国民(昔風に言えば貴族)向けのオペラってわけです。

 やはり、オペラって、ヨーロッパの王侯貴族の楽しみなんだなあ…とつくづく思い知らされます。

 さて、この公演ですが、実に良いです。特に良いのが、本来、カストラートが演じる2役がカウンターテナーによって演じられている点です。先日見た、韓国の大邱オペラの「オルフェオとエウリディーチェ」では、カストラートの演じる役(オルフェオ)を女性歌手が演じていましたが、カストラートって男性なんだよね。だから、カストラートが演じる役も男性のわけで、その男性役を女性が演じるというのは、少し古いやり方であって、昨今はそれに違和感を感じる人もいるわけで、だんだんとカストラート役を男性であるカウンターテナーが演じるようになってきました。で、今回の「ロデリンダ」のカストラート役をカウンターテナー(それもかなり上手)が演じているわけで、本当に良いです。

 私は別に女性が男性役を演じる事自体に文句はありません。ただ、オペラの場合、どう見ても男性には見えない、どう見ても女性にしか見えない人が男性の役を演じる事が多いのでイヤなんです。逆に言えば、男性にしか見えない女性が男性役を演じるのは、全然歓迎です。で、男性にしか見えない女性が男性役を演じるのはOKとは言え、だったら最初っから男性役なんだから男性が演じる方が、もっと良いとも思ってます。だから、カストラート役をカウンターテナーが演じるのは、大歓迎な私なのです。

 で、そのカウンターテナーの2名以外の歌手さんたちも、みな素晴らしかったです。このオペラは合唱が無いので、ほぼすべての歌唱が独唱で成立しているわけで、出演者の声の負担って、本当に半端ないわけですが、それをやりきっているのも素晴らしいです。カウンターテナー、ソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バス…とほぼすべての声種の歌を浴びるほど聴けるのが、このオペラの魅力とも言えます。

 演出的には、最近のヘンデルのオペラですから、当然読み替え演出…と言いましょうか、演出が見どころの一つなのですが、この公演の演出も、なかなかに演劇的で見応えありました。いやあ、結構尖ってます。あと、舞台にお金掛けてます(笑)。

 演出の特徴としては、ダンサーたちが黙役として大活躍をしています。

 最近のオペラでは、歌手に歌唱力だけでなく演技力も求められるようになって久しいですが、ついにダンサーたちにも演技力が求められるようになってきたなあ…いやいや、オペラって、ほんと、総合演劇になってきたなあ…と思いました。もはや、歌手は歌っていれば良し、ダンサーは踊っていれば良し、という時代ではなくなってきたわけです。

 まあ、そんな役割分担を守っていたら、ミュージカルに負けちゃうからね。オペラはオペラで頑張らないといけないのです。

 それにしても、やっぱりオペラの上演って、きちんとやると、経費がかかるもんだなあ…と思いました。だから、王侯貴族の趣味なわけです。それを日本でやるのは、やっぱり色々無理があるんだよなあ…と、この公演を見ていて、素直に感じてしまいました。やっぱ、オペラの上演って、贅沢で豪華じゃないと面白くないよね。

 そんなわけで、公演自体はとても良かったです。でも、字幕はAIによる自動生成なので、やっぱりアレコレ駄目です。私は「ロダリンデ」を知っているから楽しめましたが、良く知らないと楽しむのは難しいかも。そもそも、この演出自体「ロダリンデってオペラは、当然ご存知ですよね」という不親切な演出なので、そういう意味では、日本の初心者向けのオペラ公演ではないわけです。

 それを言い出したら、オペラヴィジョンにアップされているオペラはみな、日本の初心者向けのオペラ公演ではない…のかもしれませんが(溜息)。

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