まずは参考書を紹介します。
『「メサイア」ハンドブック 演奏者・鑑賞者のために 発音・文法・解釈・日本語訳』三ヶ尻正 著 ショパン社
ちょっと大きな楽譜屋さんに行くとたいてい置いてある本です。専門教育をお受けになった方々には不要でしょうが、アマチュア合唱団の方々は持っていると便利な本です。
内容は…タイトル通りです(笑)。私はこの一冊でだいぶ勉強させていただきました。メサイアを歌うなら座右に欠かさず置いておきたい参考書です。鑑賞だけの人でも、この本を手元に置きながらCDを聴くと、より深く曲を味わえることと存じますです。
あと、音取りCDが必要な方はこれもどうぞ。
"Messiah" from Scratch Tenor Edition David Meacock 編集 Artemis Editions 社
メサイアの音取りCDって案外無いんですよね。ネットで検索かけるとよくヒットする、Musicpartner社の音取りCDは、メサイアに関しては英語でなくドイツ語歌唱なのでご注意を。で、読譜力皆無な私が使っているのが、この音取りCD。これはいわゆる音取りだけでなく、間違えやすいところを重点的に特訓できるように解説があったり、楽譜に書き込みが印刷されていたり、またそこだけを練習できるようにボーナストラックが作ってあったり、ウォームアップ用のトラックまであるという、至れり尽くせりのCD付きの本です。なにしろ本の副題が「The first rehearsal and performance edition design specifically for choirs」ですからね。コーラス初心者向けに作ってありますので、本当に便利ですよ。
ただ洋書なので、英語が全くダメだとちょっとキツかな? でも、MIDI音源と違って、実際に歌手が古英語で歌っているので、本の部分は無視して音取りCDの部分だけでも必要な方には重宝すると思います。一応、プラウト版とノベル版、ペータース版の3つに配慮された作りになってます[ベーレンライター版は無視かよ!]。当然、パート別で発行されています(リンクしたのはテノール版)。アマゾンには現在アルトとテナーしかないみたいですが、輸入楽譜屋さんに注文すれば全パート入手できます。私はアマゾンではなく、輸入楽譜屋さんで買いました(笑)。
さらに。インターネットにあるのはブログだけではございません。ホームページというのも(当然)あります。こちらの「くまさんのヘンデル『メサイア』のページ」には、私とてもお世話になりました。メサイア歌う人は要チェックHPですよ。
さて、やっと本日の本題です。今までちょっと変わり種のメサイアばかり紹介してきましたが「私は普通の定番の、ある意味、王道のメサイアが聞きたいのだあ!」という人のために、最後にピノック指揮のメサイアのリンクを貼っておきます。
このCDは、ヴォーカル部分だけはベーレンライター版だそうです(オーケストラの部分はかなり指揮者の筆が入っているそうですが)。モーツァルト版の毒に染まった私(笑)は本物のメサイアに触れるためにコレを買いましたが、普通に良いCDでした。ヒギンボトム指揮のメサイアに出会わなければ、真っ先にご紹介していたCDだと思います。古楽器系の演奏ですし、合唱もメッチャ上手いですし、テンポも緊張感のあるゆっくりめのもので好感もてます。アルトは男声と女声の二人を用意し、曲によって歌い分けてさせています。
ある意味、ファースト・チョイスとしては、このCDがベストかな? 最初がヒギンボトムだとキツいかもね。あれは好き嫌いがハッキリ分かれるCDだから。
DVDだと、ブリリアントクラシックスというレーベル(ここは安価で良いものをたくさん出すレーベルですね)から出ているクレオベリー指揮のものがお薦めです。輸入DVDです(日本語字幕はありません)。
CDよりも安価ですし、合唱は男声で統一してますし、オーケストラは古楽器系です。聖堂で収録されていますので、雰囲気抜群です。ちなみに楽譜はバロウズ校訂のペータース版(英語歌唱)です。私の持っているものはリージョンフリーでしたが、アマゾンのデータではリージョン1ってなってますね、本当かな? (アマゾンのデータが間違っているような気もしないではないですが、)もし本当にリージョン1なら、普通の家庭用DVDプレーヤーでは再生できませんので、ご注意を(パソコンならリージョンの設定を変更すれば問題なく再生できます)。そんなわけで、アマゾンのリンクは参考程度に考えてください。確実にリージョンフリーのものは、HMVで売ってますので、ご心配な方はそちらで購入するのが良いでしょうね。
一週間に渡ったメサイア特集はこれで終わりです。付き合ってくださった、皆々様、ありがとうございました、そして、ご苦労さまでした。私にもご苦労さま。
蛇足。メサイア以外になぜか複数枚のCDを持っているのが、第九とモツレク、イタリア古典歌曲集だったりします。好きな曲って演奏者違いで購入したくなるものですよね。世間じゃそういうのを「大人買い」って言うらしいのですが…。あ、テノール歌手のアリア集 もやたらとあるな~。
[2008年5月11日 以下101文字削除]
コメント
ご存知でしょうか。
今年7月ドイツのトリアーに世界のメサイア愛唱家450名を集めて「ヘンデル・メサイア世界合唱祭」が開催されます。日本から30名参加できますが、まだ空きがあります。詳細はこちらでご覧いただけます。
http://www.jointconcert.com/kojinsanka%20halleluja%20Mr%20Haendel%202009.html
よろしくお願いいたします。
ジョイントコンサート国際委員会
垣沼佳則
>垣沼さん
ヘンデル・メサイア世界合唱祭り…ですか。なんかすごそうですね。私はとても、そんな世界的なお祭り事に参加できるような身分ではありません。まだ日本からの参加可能枠が空いているなら、希望者の方々で埋まるといいですね。
>好きな曲って演奏者違いで購入したくなるものですよね。世間じゃそういうのを「大人買い」って言うらしいのですが…。
軽症の「アルプス交響曲中毒」です、はい。
>通りすがりさん、いらっしゃいませ。
コメントにお名前が入っていなかったので、ひとまず「通りすがり」さんと呼ばせてください。
アルプス交響曲とは、リヒャルト・シュトラウスのあの交響曲ですよね。シブイところがお好きですね。ああ、何となく、中毒になるのが分かります。確かに、中毒になるかもしれない。
でもまあ、そうそう右から左とリリースされる曲ではないので、大人買いをしても限度があるのがうれしいですね。これが、ベートーヴェンの「運命」のように、やたらとたくさんリリースされる曲だったら…すごい事になりますよ。
…ですよね。
小生も英語版のメサイアの練習用CDを探しています。”Messiah” from Scratch は、どの輸入楽譜店で購入されたのでしょうか?
>ガンモさん
>”Messiah” from Scratch は、どの輸入楽譜店で購入されたのでしょうか?
四年も前の話ですね。インターネットにも出店していないような小さな楽譜専門店で購入したと思います(そういう小さなお店には、意外と掘り出し物があるのです)が、そこは随分前に廃業してしまいました。
テノール版なら、アマゾンにまだ在庫があるようですよ(つまり、それだけ売れていない?)。その他の声種でも、本そのものは流通しているようですから、輸入楽譜を扱っている店なら、どこでも買えると思いますが? 書名などは分かっているのですから、在庫がなければ、注文すれば良いのです。
今は当時と比べて、ネットでの楽譜屋も増えましたし、もっと新しい、メサイアの英語の音取りCD本もいくつか出ているようですよ。なので、ちょっと検索をかけて、適当なお店に注文されてもいいかもしれませんよ。
ちなみに、最近の私は、楽譜は…やっぱりアマゾンで買ってますね。便利ですから。どうしても現物を見たいと言う時は、銀座に行ってます。新装開店したヤマハ銀座店の輸入楽譜は、なかなかの充実ぶりですよ。