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LFJ2018 その10 (おそらく)LFJ初の声楽のマスタークラス聴講してきました

 バリトン氏のコンサートの後は、標題通り、声楽のマスタークラスを聴講してきました。

 それにしても、声楽って…人気ないなあ。マスタークラスは整理券方式で、開講の90分前から整理券を配布し、大抵の場合、その整理券はすぐに無くなり、もらえなかった人は、キャンセル待ち(整理券は会場5分前で効力を失います)の列を作って並ぶ…というのが、最近のマスタークラスの常套です。

 実は私たち、整理券配布の時間は、バリトン氏のコンサート開始時刻と重なってしまい、整理券をもらうことを諦めていたのです。で、バリトン氏のコンサートが終わってからでは、すぐに開講時間になってしまうので、キャンセル待ちにしても、かなり後ろの列になってしまい…おそらく会場に入る事はできないだろうけれど、まあダメ元で列に並んでみよう…と思って、コンサートが終わってから、ぼつぼつとマスタークラスの会場に向かったのです。

 そうしたら、会場には人があまりいないんですよ。列はありましたが、短いのが1列? 普通は、会場入りを待っている整理券を持っている人の列(座席は自由なので、良い席をゲットするために並ぶんです)と、キャンセル待ちの列の2列があるんですが、ふと見たら、列は1列しかないんですよ。

 あれあれ? もしかしたら…と思って受付に行ったら、まだ整理券が残っていました。はい、もちろん、整理券をいただきました。開講まで、そんなに時間もなかったので、そのまま入場の列に並んだのですが、思いっきり前の方でした。開場して座席をゲットしたら、前方中央部の良い席が確保できました。ううむ、ラッキー…だよね。

声楽マスタークラス

 ソプラノ:天羽明恵

 生徒の方は…大学院生じゃないかな? 用意していた曲目は、コルンゴルトのオペラ「死の都」のアリア「私に残された幸せ(マリエッタの唄)」と、ベルグの「7つの初期の歌曲」から「夜」と「夜のうぐいす」の3曲でした…が、結局歌ったのは、ベルグの「夜」とコルンゴルトの2曲だけでしたが…。

 ちなみに「夜のうぐいす」の“うぐいす”はナイチンゲールの事らしいです。そりゃあそうだ、うぐいすって日本にしかいない鳥って事で有名だからね。それにしても、うぐいすとナイチンゲールは全然違う鳥だし、鳴き声も全然違うのに、ナイチンゲールをうぐいすと訳してしまった先人の方は…ちょっと乱暴だよなあって思います。

 では、レッスンの内容に入ります。生徒さんはまず、ベルグの「夜」を歌いました。歌い終えたところで、先生は楽譜を閉じさせて質問します。この曲は、何拍子の曲で、何調で書かれていますか?と。

 なぜそういう質問をしたのかと、先生から解説が入りました。歌手の中には、自分の歌うメロディーと歌詞しか見ない人がいるけれど、それではダメで、少なくとも、この歌は何拍子で何調なのかぐらいは意識して歌って欲しいから…だそうです。確かに、この質問、私がされたら、まず答えられない(汗)。

 次に歌詞に関する質問をしていました。どんな内容の歌詞なのか、どこで歌われているのか、どんな情景なのか、季節はいつで、時刻は何時頃なのか? 最後は歌詞の逐語訳を求めていました。歌う前に歌詞の内容をしっかり把握しておけって事で、これは私もダメだなあ。

 さて、いよいよ歌の注意に入りました。

 まず歌い出しは大切だから、そこは気をつけて歌うようにと言っていました。これは単純に、フレーズの出だしを大切に歌えという話だけではなく、ドイツ語やイタリア語では、最初の語を言った途端に、文章全体が決まってしまうので、文章の最後まで見通してから歌いださないといけないのだそうです。ちなみに日本語は、言い終わるまで文章は決まらないという言語で、話しながらいくらでも結末を変更できるという、超フレキシブルな言語なんだけれど、そういう柔軟性は西欧の言葉にはないわけで、だから歌い出す前に、しっかりと結論を見据えて歌わないといけないんだそうです。言われてみれば、その通りかもしれません。

 歌はレガートで歌うこと。これは私が毎回Y先生に注意される事と一緒です。天羽先生は、これを「歌を草書体で歌う」という言い方をします。子音を入れる度に母音がブツブツ切れるのではなく、すべてが一筆書きのようにつながった草書体のイメージで歌うのだそうです。具体的には、息を切ることなく、息をつなげて歌うわけです。もちろん、草書体では字に大小があるように、歌の中ではそれぞれの音に強弱を付けていくわけですが、それでも息は切らない…これがレガートだと言うわけです。なるほどね。

 子音をたっぷり時間をかけて歌う事、子音を楽しんで歌うとも言ってました。その際、これはソプラノ特有のやり方なんだそうだけれど、子音を前に出すのではなく、上に流すようにして発音すると結果が良いのだそうです。

 また子音の音程は、母音よりも高くしておく事と注意されていました。これが逆に、子音の音程の方が母音の音程よりも低いと、音程が合っていても、何だからぶら下がった感じの音に聞こえるので、常に子音は高めの音程で歌うわけです。子音の音程が大切だとは、私もY先生に毎回のように注意されています。

 “りんご ごりら らっぱ” 常にフレーズの開始音は、直前に歌い終えたフレーズの声で始める事。そうでないと、レガートにはならないわけです。フレーズごとに声を変えて歌ってはいけないわけです。つまり、最終的には1曲まるまる同じ声で歌うわけです。生徒さんは言われてすぐにできるようになりましたが、我々アマチュアだと、これは難しいかもね。特に音域で声が違う人って、結構いるものね。私の場合、低い音域だと声が胸に落ちてしまうし、高い音域だと、ノドの奥が閉じてしまいます。で、Y先生に注意されるわけです。だって、これって音程を優先して、声を二の次にしてしまうため、声が変わってしまうからダメなんだよね。そこまで極端に変わらなくても、普通の高さの音でも、ちょっとした意識の違いで声が変わってしまう事って、結構あります。常に、同じ声をキープしたまま歌えるようにしないといけません。

 横隔膜の使い方にも言及していました。天羽先生のやり方は、横隔膜は常に下向けに張っていたいそうです。そうする事で、ノドが常に下がった状態をキープできるんだそうです。ちなみに、横隔膜の使い方に関しては、天羽先生とY先生が教えてくださるやり方は、ちょっと違っています。Y先生は「テノール特有の使い方だよ」と言って教えてくださっているのは、最初は天羽先生と同じなんだけれど、それだけでは不足で、横隔膜の中央部に関しては、上に引っ張り上げるのです。横隔膜は最初は下に、しかし中央部だけは上に、やがて全部を上に思いっきり引っ張りあげる…というのをやっています。

 声楽のマスタークラスはまだまだ続きますが、記事が長くなってきたので、今回はここまで。続きはまた明日。

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コメント

  1. tetsu より:

    こんばんは。

    >天羽明恵

    ラ・フォル・ジュルネで公開レッスンされていたのですね。
    以前(何年前??)、サントリーホールでのフォルクスオパーのニューイヤーコンサートに続けて通っていた時期がありました。
    天羽明恵の歌は図抜けていて、名前は憶えていました。ニューイヤーコンサートの歌手は入れ替わり立ち代わりなので出番はあまりないのですがそれでも記憶に残っています。
    機会があればまた聴きたいです。

  2. すとん より:

    tetsuさん

     すごい歌手さんなんだなあ…って、私もマスタークラスを聞きながら思いました。で、そんなすごい歌手さんがマスタークラスをすると…ウチのY先生と言っている事が同じ!って事に、まずビックリ。器楽だと、そんな事はなく、先生が違えば、言う事なんて違うのに、声楽だと同じってところは、色々と考えてしまいました(変な意味ではなく…ね)。

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