オペラヴィジョンで公開されているオペラは、すべて期限付きの公開なので、あんまり放っておくと公開終了になってしまいます。ですから、終了期限が近づいた作品から優先的に見るようにこころがけていたりします。
そんな感じで、まもなく公開終了になってしまう作品を見ました。ハンガリー国立歌劇場の「コジ・ファン・トゥッテ」です。
いつものように、スタッフ&キャストを書きます。
指揮:レヴェンテ・トルコ
演出:クリスタ・セーケリー
製作:ハンガリー国立歌劇場(2026年5月23日)フィオルディリージ:イルディコ・メギモレツ(ソプラノ)
ドラベラ:ゾフィア・カルナイ(メゾソプラノ)
フェランド:ボトンド・パル(テノール)
グリエルモ:アッティラ・ドバク(バリトン)
デスピナ:ズザンナ・カピ(ソプラノ)
ドン・アルフォンソ:イシュトヴァーン・コヴァーチ(バス)
まず、男性陣が良いです。
ドン・アルフォンソが、チャらめのイケオジでカッコ良くて、恋のアドヴァイザー役としてのリアリティーがあって、まさにはまり役です。フェランド役とグリエルモ役の2人が、いかにも若々しくてイケメンで、これもまた良しです。
演出は読み替えで、時代はおそらく近未来。場所は…どこでしょ? どこかのファンタジーな国なんだと思います。ファッションは、あんまりリアル寄りではなく、女性陣はモリモリな盛り髪をしていました(笑)。
そんな感じで、時代や場所を不特定にしていましたが、それでも全然違和感はありません。「コジ・ファン・トゥッテ」って、そのあたりを超越したストーリーなんだよね。だから、これはこれでアリです。
電子書割である、プロジェクション・マッピングがすごく効果的に使われていました。良いですね。あと(これは笑いの小ネタでしょうが)軍隊の招集太鼓の代わりに、ワグナーの「ワルキューレの騎行」がジングルとして使われていて、最初はビックリしましたが、これはこれでアリだなとも思いました。ワルキューレって、やっぱり軍隊を思わせる音楽なんだよね。また、出征した2人が、プロジェクション・マッピングに書かれた、宇宙船で出発するのも、面白いネタだなと思いました。
読み替え演出って、昔のお話を、力技で現代に持ってきて、今の人たちに親しみを感じさせる演出手法だけれど、このオペラの読み替えは、現代と言うよりも、むしろ近未来に読み替えていて、なんか親しみやすかったです。これはこれでアリだなって思いました。
オペラヴィジョンを見ていて思うのは、最近のオペラって、歌手たちの水準は、どこも皆、水準以上で、歌唱面で文句を言うような事って、ほとんどないなあ…って事です。みんな、歌唱は良いし、また昔とは違って、スタイルも良いし、美女やイケメンがキャスティングされています。それなのに、新作が作られることはほぼ無いので、どうしても演出で魅せるしかない…というか、演出の面白さで客を惹きつけるしか方法がないのでしょうね。
実際、私も最近は、音楽の素晴らしさというよりも、演出の面白さでオペラを楽しんでいる事があります。
だいぶ以前から言われていますが、やはりもはや「オペラは演出を楽しむもの」なのかもしれません。そういう視点で見ると、この「コジ・ファン・トゥッテ」は、演出的にとても良かったです。
大満足だよ。
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