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2026声楽発表会 その3 パリ版で歌えたのは、うれしかったです

 何はともあれ、二重唱は終了です。そこから、さほど間を置かずに、三度の出演(今度はアリアを歌います)となるので、そのまま舞台袖に控えていました。妻は、一度楽屋に戻るそうです。

 二重唱では、歌とか演技とか色々失敗はあったけれど、ひとまず声はかすれていなかったので良かった…と安心できました。あと、歌い出しのルーチンは大切だな…とも思いました。いつものルーチンを経ずに二重唱は歌いだしてしまったために、心の準備が足りていなかったように思われたからです。

 ですから、アリア(グルック作曲「Che faro senza Euridice/エウリディーチェを失って」)を歌う時は、いつものルーチンをしっかりやろうと決心したわけです。

 やがて私の出番になりました。にこやかに微笑みながら舞台に出ていきました。「これで最後。歌い終われば、今年の発表会が終わってしまう…」と、少し残念な思いを噛み締めながら出ていきました。

 歌い出しのルーチンです。私のルーチンは、まずは舞台中央に背筋を伸ばしてスクっと立ったら、観客に向かって一礼します。そして、すぐに後ろを向いてピアノに向けて、大きく息を吐き出します。そこで覚悟を決めて、気持ちが新たになったら、ピアニストさんとアイコンタクトを取ります。振り向いて、2,3歩前に歩んで止まります。これが私の歌い出しのルーチンです。そうした手順を踏んだところでピアノが鳴り始めるわけです。

 今回のアリアは、そんなルーチンをしっかりやってから歌い出したので、かなりしっかり歌えたと思っています。

 この曲は、元々カストラートありきで作られたオペラのアリアですが、そのカストラートが死滅してしまったために、20世紀後半ぐらいまでは、オリジナルのままで歌われることはなくなりました。当時、カストラートを受け入れなかったフランスで興行するために、主役のオルフェオ(本来はカストラート)をテノールが歌うように編曲したものを、作曲家のグルック自らが作りました。これを後年「パリ版」と呼ぶようになり、実際、20世紀後半までのバロック・オペラが上演されづらい時代であっても、このオペラだけは「バリ版」で上演され続けたわけです。…が、時代が下がって、やがてバロックオペラが普通に上演されるようになり、主役のカストラートの役を、最初はズボン役の女性歌手が、今では男性歌手であるカウンターテナーが実音で歌うようになり、パリ版の楽譜を使ってテノールが歌うのは、めっきり少なくなってしまいました。たぶん、今録音などで聴けるテノール歌唱のモノは、パヴァロッティが歌っているのが最後かもしれません。

 そんな今となっては珍しいパリ版で歌えたのは、ちょっとうれしい私でした。

 まあ何とか歌ってみましたが、それでもやはり難しいのは、ffの発声ですね。歌っている時は怒鳴っているつもりは全く無いのですけれど、こうして後から録音で聞くと…あきらかに怒鳴っていますね。歌なんだから、怒鳴っちゃダメなのに怒鳴っています。このあたりが、私の今後の反省点です。あと、仕方のないことですが…ほんと…声が悪いなあ…。もっと歌声が美しければ良いのに、本当にイヤになってしまいます。

 とにかく歌い終えました。これで私の今年の発表会は終了です。気楽な気持ちになって、客席に行って、妻の歌を聞いてから、舞台袖を経由して、会場出口に回りました。やってきてくださったお客様たちへのご挨拶のためです。

 リアルな知り合いも来てくれた中、ネットの友人としてショウさんがやってきてくれたのは、ほんと、うれしかったです。いろいろ、ありがとうございました。

 皆さんを見送った後は、急いで着替えて、楽屋を撤収です。実は今回の発表会は、時間的に押してしまったそうなので、楽屋撤収も急がないといけません。で、その後は、雨の中、移動して打ち上げです。ある意味、私的にはこちらが本番とも言えます(笑)。

 今年の発表会は、新規参加の方が多かったのです。仲間が増えるのは、嬉しいことです。いつのまにか私も古参の門下生の側になってしまいました。いつまでも元気で楽しく歌えるのはうれしい事です。打ち上げの時に、ちょっとした情報を入手できました。もしかすると、来年あたりに、実現できるようになるかもしれません。きちんと決まったら書きます。

 それにしても打ち上げって楽しいです。来年も、このメンバーで発表会を行い、楽しく打ち上げに参加できたら良いなあ…と今から思ってしまう私なのでした。

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