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映画館という産業は、早晩無くなってしまうのかもしれない

 でも、そうなったら、私はとても寂しいです。
 日本にテレビが普及する前、映画は庶民の一大娯楽だったそうです。でも、テレビが普及するに従って、映画館に足を運ぶ人々が減り、ポルノ映画以外はほぼ開店休業状態…つまり、映画館は斜陽産業となってしまいました。
 やがてレンタルビデオが普及し始めると、頼みの綱であったポルノ映画も廃れ始め、いよいよ映画館は終わりか!と思われた時に、映画館の淘汰が始まりました。潰れる映画館は潰れ、劇場施設を新しく建て直し、シネコン化した映画館は生き残りました。
 このまま、シネコンとなった映画館は、安定した娯楽施設として継続していくのかと思われた矢先、このコロナ禍で、映画館を取り囲む状況が一変してしまいました。
 まず、政府から休業要請であったり、営業自粛などがあり、思うように営業できなくなりました。そんな不安定な営業状態の中、映画製作会社や配給会社から新作映画が回されなくなりました。いわゆる「弾が無い」という状態です。
 そこで映画館は旧作の上映などで乗り切ってきたわけです。やがて、邦画は新作が上映できるようになりましたが、それでも大作映画は公開が控えられるようになりました。映画館の利益の大半を占めていたであろう、ハリウッドの大作映画は全く上映されなくなりました。
 実は映画館を取り巻く環境は、日本よりもアメリカの方が厳しいようです。アメリカでは、新作映画を映画館にはかけずに、いきなり配信サービスで公開するようになりました。今までは映画館でしっかり上映してから、半年後に配信サービスに下ろしたり、ビデオ化されてきたわけだけれど、今の時代、映画館をすっとばして、いきなり配信サービスで上映するようになったわけです。
 実際、私も映画館ではなく、アマゾンプライムやDisney+で新作映画を見るようになりました。でも、私の本音で言えば、映画はやっぱり映画館で見たいです。あの大画面を見ながら、素晴らしい音響に包まれて、映画を楽しみたいのです。我が家のしょぼいテレビの画面と音声では、映画はほぼほぼ楽しめません。もちろん、テレビの小さな画面用に制作されている、テレビドラマとかアニメとかは、まあいいのです。でも、劇場公開映画って、あの大画面と音響設備を前提に作られているわけで、それを家庭用のテレビで見るなんて…ほんとショボいんですよ。
 まあ、それでも配信の場合は、劇場で見るよりも、かなり安価…例えば、劇場で映画を見ると、夫婦で約4千円かかるわけだけれど、配信なら約千円だから、1/4の費用で済むわけだし、無料配信の新作映画もあれば、そのお安さはプライスレスなわけだから、ショボい環境での映画鑑賞になったとしても、文句は言えません。飲み込みます。
 安いが正義と思っている人とか、映画館の施設設備に価値を見いださない人たちにとっては、映画は配信やレンタルビデオで見るので十分なんだろうと思います。
 実際、映画館って、本当にお客さんがいなくなったよね。劇場内に、我々夫婦しかいない!…なんて事も、たまに起こったりするくらいに、閑古鳥が鳴いているのが地元の現状です。やばいよねえ。
 私の場合、地元やその周辺の映画館が潰れたら、オペラ映画以外では、もう映画館には行かなくなると思います。だって配信で見ればいいんだもの、わざわざ都会の映画館まで足を伸ばす…なんて、もうしなくなると思います。
 メトのライブビューイング等のオペラ映画は、世界的には配信でも上映されているのだけれど、日本語字幕付きの配信が無いので、諦めて東京にまで出かけて見に行くようになるんだろうなあって思います。逆に言えば、オペラの日本語字幕付きの配信サービスがあれば、すぐさま加入しちゃうって話です。…とは言え、クラシカ・ジャパン・プラスが無くなった現在、オペラはもちろん、クラシック音楽全般を日本人向けに配信してくれる動画サービスが無いわけだから、クラシック音楽に関しては、配信には全く期待できないわけです。クラシック音楽系の動画は、NHKの深夜のクラシック音楽系の放送ぐらいしか期待できないわけです。実に残念です。
 てなわけで、映画館、とりわけ地元の映画館の末永い営業を心から望んでいます。
蛇足 配信サービスのおかげで潰れちゃうのは映画館だけでなく、レンタルビデオ屋も相当ヤバいです。まあ、レンタルビデオに関しては、私はあまり利用しないので、別に無くなっても全然平気なんですがね。

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コメント

  1. オペラ座の怪人の怪人 より:

    お歌ネタと金魚ネタには、反応できず
    フルートネタと時事ネタに反応する私をお許しください。
    映画の過去・現在・未来、
    配信の過去・現在・未来については、
    すとん様が全て語ってくださっていて、
    他に何も言えまへん。
    クラシック音楽に関しては、
    元々「そこ」にあった西洋はともかくとして、
    クラシック音楽を「輸入」してきた日本において、
    大昔(といっても、明治とか、大正時代)、
    クラシック音楽は、演奏会に行ける、
    一部のお金持ちのものだったのが、
    ラジオ、テレビ、レコード、CDによって、
    私のような一般ピープルにも手が届くようになり、
    考えてみれば、クラシック音楽のライブに行った回数は数えられるほどで、
    一方、ラジオ等々の文明の利器で音楽を聴いた回数は数えられない。
    文明、テクノロジーによって、
    高尚な芸術(クラシック音楽のみならず、映画も)が
    一般大衆に普及していくという「数のメリット」と
    ライブの演奏会や、映画館での迫力が圧倒的な「感動」を与えるという、
    「質のメリット」とを勘案すると、
    「数のメリット」の方が、大きいというか、重要というか。
    そもそも、テクノロジーを止めることはできない話。
    今度、我々は、ますます「数のメリット」を享受するのかな、と。
    ヽ( ̄▽ ̄)ノ ヽ( ̄▽ ̄)ノ ヽ( ̄▽ ̄)ノ
    (-A-) (-A-) (-A-) ← ざっくぅ
    おしまい

  2. すとん より:

    オペラ座の怪人の怪人さん
     そう、テクノロジーの発達による「数のメリット」は無視できないし、私自身もその恩恵に預かっています。
     だいたい、クラシック音楽なんて、テクノロジーの発達(レコードにせよ、CD,DVD,配信サービスにせよ)がなければ、そもそも享受できなかったわけで、そういう意味ではテクノロジーの発達様々だし、数のメリット万歳!です。
     逆に言えば、数を集められなければ、衰退してしまうわけです。
     最近知ったのですが、クラシカ・ジャパンという、かつてCSにあったクラシック専門チャンネルが加入者不足で、CSから撤退し、クラシカ・ジャパン・プラスという配信サービスになったのですが、そちらも加入者不足で最近、サービス停止となり、今現在、日本にはクラシック音楽系の専門チャンネルもなければ、配信サービスも無いという現状となりました。
     ああ、悲しい。結果から言えば、クラシック音楽は我が国に根付いていなかったわけだし、それを楽しみにする人は、日本語の壁を乗り越えて、海外の動画配信サービスに頼らなければいけない現状となりました。でも、海外の動画配信サービスには日本語字幕は付いていないので、オペラとかオラトリオとかの声楽作品はかなりキツイです。
     まあ、一縷の望みは、NHKの深夜に細々と行われているクラシック系の中継番組です。でも、それとても、数のメリットが無くなれば、放送が縮小あるいは中止になるわけですから、先行き、とても不安です。

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