先日、オペラヴィジョンのサイトをチェックしたら「もうすぐ配信終わっちゃうよ、見なくていいの?」という表示が出ていた、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」の配信を見ました。例によって、スタッフ&キャストを書きます。
指揮:フランチェスコ・コルティ
演出:トム・グーセンス
製作:フランドル・オペラ・バレエ団(2026年1月18日)ドン・ジョヴァンニ:マイケル・アリヴォニー(バリトン)
ドナ・アンナ:マリー・リス(ソプラノ)
ドナ・エルヴィラ:アリアナ・ヴェンディテッリ(ソプラノ)
ドン・オッタヴィオ:レイノウド・ファン・メヘレン(テノール)
騎士団長:エドウィン・ケイ(バス)
レポレッロ:マイケル・モフィディアン(バリトン)
マゼット:ジャスティン・ホプキンス(バリトン)
ゼルリーナ:カタリーナ・ルックガバー(ソプラノ)
フランドル・オペラ・バレエ団とは、ベルギーの歌劇団で、アントワープとヘントの2拠点公演をしている団体だそうです。フランドルという地方名は日本語だとフランダースとも言います。今回の上演は、アントワープ歌劇場で行われたようです。
現在の団体は、アントワープ歌劇場とゲント歌劇場と王立フランダース・バレエ団の、3つの組織が2010年に統合されてできた、歴史はあるけれど新しい団体のようです。
まず今回の公演の内容だけれど、音楽に関しては、特に申し分はありませんでした。テノールのメヘレンの声が美しすぎて…溜息ものです。またドン・ジョヴァンニとレポレッロの歌手さんは、二人とも黒人なのですが、今回のような、時代も場所も特定されていない現代劇っぽい演出だと、特に気になりません。それどころか、ドン・ジョヴァンニのアリヴォニーは、なかなかのイケメンだなあと思いました。やっぱり、イケメンがドン・ジョヴァンニを演ずると説得力がありますね。女性陣もみな良かったです。それにしても、歌手の皆さん、特にソリストさんたちは、みんなスタイルが良いですね。一昔前の「オペラ歌手は、みんな、カバかブタのような体型をしているもの」というのが嘘みたいです。
音楽的には、指揮者であり、チェンバロも担当しているコルティのチェンバロの演奏に気の利いたアドリブがたくさん入っていて、なかなか良かったです。
演出的には、なかなかに尖った演出で、大道具はほぼ無く、小道具も最低限しか使われていなくて、ある意味、スタイリッシュな演出でした。まあ基本的には「ドン・ジョヴァンニのお話は知っているよね」という大前提付きの演出だとは思いました。とは言え、そこまでお話を壊しているわけではないので、歌手たちの芝居を見ていると、だいたい何が行われているか…程度は分かります。
むしろよく分からないのが衣装で、序曲とカーテンコールでは、出演者全員、ベージュ色の下着姿で登場するもの分かりません。劇中の衣装も、ドン・ジョヴァンニとレボレロ以外は、ペラペラの化繊の単純なデザインの衣装(しかしカラフルで美しい)を着ているし、よく見ると、マゼッタはウェディングドレスで、チェルリーナはスーツ姿という男女逆転の衣装の理由もよく分かりませんでした。おそらく、何からの意図はあるのでしょうが、オペラを見ている時には、全く気づきませんでした。
分からないと言うと、劇中に2度あった、メンドリの行進も分かりません。ただ、この公演のトレイラー(予告編)の動画は、このメンドリたちの動画だったので、今回の公演のアイコン的な存在だったようです…が、やっぱり分からないものは分かりません。
オペラの最中、舞台には常にはしごが掛かっていて、このはしごを経由して舞台下に設定されているのが“地獄”だというのは分かりましたが、劇中に何度も、騎士団長が下着姿でこのはしごを下っているのは、分かりませんした。
とにかく演出面では、尖っている部分が多くて、そういう点が分かりづらかったけれど、オペラ全体を理解するのに困難を生じるほどではありませんでした。
オペラを理解するのに困難を生じる…というと、字幕かな? この公演も日本語字幕はないので、AIに自動生成してもらったわけですが、この日本語字幕が、ほぼ日本語になっていませんでした。前回見た「ボエーム」の日本語字幕が、とてもよくできた字幕である事が分かるほどに、今回の字幕は、ほぼ役にたっていませんでした。でもまあ、有名なオペラなので、字幕は無くても平気なので、さほど大きな問題ではなかったのですが…。
とにかく、ヨーロッパの最新の尖った演出のオペラが無料で見られるのは、何よりのことです。感謝しています、オペラビジョン様。
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