私のヴァイオリンレッスンは、一回1時間(ぐらい)のレッスンを月二回(くらい)やると言う、かなりアバウトなレッスンです。もちろん日時や場所も、その都度、お互いのスケジュールを確認して決めていくという、かなりフリーダムなレッスンでもあります。
なので、初回レッスンである今回も、当然1時間のレッスンの予定でしたが、結局レッスンそのものは1時間半やりました。その後、楽器の調整をしてもらって、世間話などもしたら、あっと言う間に、2時間が過ぎてしまいました。
きっと普通のお教室では考えられない事なんだろうなあ…。これも、先生一人生徒一人という贅沢な環境ゆえのアバウトな時間の使い方って奴でしょうね。
さて、初レッスンでどんな事を習ったのか、自分のために書いておきます。
最初は当然“ヴァイオリンの構え方”からです。
最初に先生から一言。「ヴァイオリンの構え方には正解はない。良い演奏ができれば何でもいいし、プロの一流奏者の構え方も、実に人それぞれだ。しかし、正解はないけれど、基本形はある。だから、まず最初はそこから入り、徐々に自分流に崩していけばよいでしょう」との事。最終的には自分のオリジナルの形になるにしても、入り口は基本形から入りましょうという事です。ラジャーです。
で、ヴァイオリンの構えで一番大切な事は…カッコいいこと(笑)だそうです。カッコ悪い姿勢は、それだけでダメだそうです。なぜなら、どこかが間違っているからかっこ悪いのだそうです。かなり個性的な構えであっても、その人にとって正しい構えなら、それは見ていてカッコいいのだそうです。だから、ヴァイオリンはいつでも“カッコよく構える”事を忘れないように、との事です。
カッコ良さから入るとは、さすがに、舞台経験の多い現役ミュージシャンは、最初に押さえる点がちょっと違います。
で、具体的なヴァイオリンの構え方。まず直立不動の仁王立ちが基本形。背筋をピンの伸ばし、胸を張って、かっこ良く立つ。視線は正面を向いたまま、ちょいと体をひねって、左肩を前に入れていく。ヴァイオリンを左の鎖骨の上に乗せて、アゴを自然とヴァイオリンに落として、両手放しのまま、アゴでしっかりとヴァイオリンを挟んで固定する。視線は正面のまま、遠くを見つめる事。ヴァイオリンのヘッドの方向は視線の方向と同じ向きにする事。ヴァイオリンはやや上向きの前倒しになるように構える。
こういう姿勢を取って、カッコ良ければ、それが正解。なんかカッコ悪いなら、どこかが違っているわけです。
どんな個性的構えでも最終的に良いのだそうですが、それでも譲れないポイントとしては、とにかく楽器の保持のために手は使わないと言う事。それと、絶対にヴァイオリンを見ない事。この二つは譲れないのだそうです。そしてヴァイオリン操作のすべては、耳の感覚と体の感覚で覚える事が肝心なんだそうです。
しっかりヴァイオリンを構えられるようになったら、まずは左手で、ペグの位置とアジャスターの位置をしっかり体に叩き込む事。そのために、最初は何度も、左手でペグの位置とアジャスターの位置を触って確認すること。…当然、これは宿題です。
ヴァイオリンの構えができたら、次は、チューニングです。チューニングは電子チューナーではなく、音叉を使って、耳で合わせます。と言うのも、実際のライブの現場では、ヴァイオリンは他の楽器のピッチに合わせる事が多い(具体的にはピアノだね)ので、耳で正確なチューニングができないと使い物にならないそうです。電子チューナーの使用は禁止しないけれど、耳でチューニングをする練習もきちんとしましょうとの事。これも当然、宿題です(ただし、時間がある時だけでいいそうです)。
で、チューニングのやり方。まず、正確なチューニングの前に大雑把にピッチカートで、まるでウクレレを弾くかのように、だいたいの音程を合わせます。その時に基準にするのが、音叉の音。ただし、この段階では音叉の音とヴァイオリンの音を実際に比較しながら音を合わせるのではなく、音叉の音を聞いて覚えて、その記憶の中の音叉のA音とヴァイオリンのA線の音を合わせます。
A線が合ったら、A線音からEの音を推測して、その記憶の中のEの音とE線を合わせます。私の場合は、Aの音から頭の中で歌って、Eの音を想像して、そのEの音とE線を合わせました。もしも、その場にピアノがあれば、ピアノにEの音を出してもらって、その音を覚えてそれと合わせてもいいし、指のポジションをしっかり覚えた後なら、A線からEの音を出して、それを覚えて基準にしても良し。どちらにせよ、実際に何かの音を鳴らして合わせるのではなく、記憶の中の音と弦の音を『大雑把に』に合わせることが肝心なんです。そういう意味では、絶対音感を持っている人は、この段階で有利だよなあ…。
で、同様な手口で、D線とG線も合わせておく。この大雑把な音合わせの時は、どの弦もペグを回して音を合わせます。
大雑把に音が合ったら、ヴァイオリンをきちんと構えて、弓で弾いて、正確に音合わせを行います。その際は、G線とD線はペグで音合わせをしても良いが、A線とE線はアジャスターを使って、なるべく正確に短時間で合わせるようにする事。つまり、アジャスターはA線とE線の二カ所に入れるようにしようという事です。なぜ、A線にもアジャスターが必要なのかと言えば…A線の音をペグだけでもチューニングすることはできるけれど、それではちょっと時間がかかりすぎてしまうので、アジャスターを使って、チャッチャッとチューニングしちゃった方が現実的なんだそうです。
チューニングは、いくら事前に合わせていても、やはりステージに上がってから、最終確認をするわけで、その時の客前でのチューニングに時間をかけるわけにはいかないでしょう、と言う事です。なので、今の私はまだA線にアジャスターはいらないけれど、人前で演奏するようになったら、A線にアジャスターを付けましょうという事です。ラジャーです。
さて、正確にチューニングをする方法です。
正確にチューニングするには、二つの音を耳で聞いて、音のうねりの有無を聞き分けます。音が違う状態から合っている状態に向かって、音のうねりって、ゆるやかなうねりから段々激しいうねりに変わり、激しいうねりから急にうねらなくなるポイントがあります。そのうねらないポイントが正しいチューニングポイントです。ですから、それを耳で聞き分けるわけです。
最初は音叉とA線の音を同時に聞いてうねりを確認します。これはギターでも似たような事をやっていたので、音の聞き分けは楽勝ですが、右手で弓を左手で音叉を持って、うねりの状態を確認しながら、左手でペグを操作するので、確かに面倒な動作です。ペグを回すのだって、気を抜いて回すと、あっと言う間に音が下がっちゃいますので、一回一回きちんと気持ちを入れてペグを回さないとダメです。A線もアジャスターでチューニングしちゃえば楽というのも分かるような気がします。
A線は音叉で合わせますが、残りの弦は、重音奏法で比較します。例えば、A線とE線ならば、それらの弦を同時に弾いて、その音のうねりを確認。うねっているうちは音が違うわけで、きれいに音程が五度違いになると、うねりが治まるのがおもしろいです。D線とA線、G線とD線も同様に行ってチューニングしていきます。
私は重音がまだうまくないので、今回は先生にチューニングしてもらいました。そこで宿題…毎日重音の練習をする事。
ここまでが、レッスンの前フリというか、下準備です。ここまでできて、いよいよレッスンが始まったわけですが…この続きはまた明日にします。だって、長くなっちゃったからねえ…。
コメント
初レッスン、おめでとうございます。
いかに充実したレッスンかよく伝わってきました。
いいなあ・・・レッスン!
>とにかく楽器の保持のために手は使わないと言う事。
昔先生の指導で楽器を手を使わず顎に挟んでぴょんぴょん跳んだりしました。
それにしてもヴァイオリンを弾くと顎が痛くなります。
>Ceciliaさん
はい、初めてと言うこともあり、時間的にも長丁場だったと言うこともあり、まだまだ覚書としては全然足りてません。こんなに詰め込んで大丈夫かな?と我ながらちょっと心配だったりします。
>昔先生の指導で楽器を手を使わず顎に挟んでぴょんぴょん跳んだりしました。
それ、すごいなあ。それができれば、かなりしっかりヴァイオリンが保持されているわけですね。私がぴょんぴょん跳んだら…まず床が抜けるか(笑)。
アゴの問題は、色々なブログで書かれていますね。痛くなるとか、アザになるとか。あと、アゴ当てが原因で、炎症を起こしたり、アレルギーになっちゃう人もいるそうだし、色々ありそうです。
本当は、アゴ当ても各人のアゴの形とか体質とかで、気軽に選べるといいのですが、普通は何も考えずに、楽器に付いているアゴ当てをそのまま使うんでしょうね(私もそうです)。
知ってるかも、しれないと思いましたが、、、、、 X-)
>右手で弓を左手で音叉を持って、・・・・・・・・
音叉は叩いたあと歯で銜えると、骨振動で長い間響いているのが聞こえます
両手が、調弦に使えます :-)
>ととさん
歯でくわえる方法は…私はダメなんです。気持ち悪くって…。うるさい会場で、音叉を使ってチューニングする時は、多少の精度は落ちても、内耳で音を聞いちゃう方が楽なのですが、私は、歯はダメなんです。その代わり、よくやるのが、頭蓋骨(こめかみ)あたりに当てるやり方です。これならOKです。
あと、音叉を耳の穴に入れちゃうという方法もありますね。これだと、内耳だけでなく、外耳も使うので、かなり正確な音程が分かると思いますが、これもやっぱりダメなんですよ、私。気持ち悪くってねえ…。