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昔は“家事手伝い”という職業がありました

 私が若かった時は、女性の多くは、学校を卒業すると“家事手伝い”になり、2~3年ほど家事手伝いをして、結婚していったものです。

 家事手伝いというのは、何なのかと言うと、家庭で母親から家事全般を仕込まれる事を言う訳で、私よりも前の世代では、これを“花嫁修業”と呼んでいたそうです。

 それがいつの間にか、家事手伝いは廃れてしまいし、女性であっても、学校を卒業すると、就職して会社等で働くようになりました。就職せずに家庭で家事手伝いをする女性の事を、いつしか“無職”とか“引きこもり”と呼ぶようになりました。

 確かに、家事手伝いは金銭を稼ぐわけではありませんから、無職と言えば無職ですが、それを言い出したら(専業)主婦は全員“無職”になってしまいます。

 今、私は“(専業)主婦”と書きました。私が子どもの頃は、主婦は主婦であって、専業主婦なんて言葉はありませんでした。だって、主婦はみんな専業主婦だったからです。逆に、働いている女性を“職業婦人”と呼んでいたものです。

 つまり、女性は主婦として家事をするのが当たり前で、働いて、お金を稼ぐという方が珍しくて、少なかったのです。

 昭和って、豊かな時代だったんだと思います。

 明治大正の頃は、一部の上流階級の人々を除けば、男性も女性も働いて稼いで暮らすのが当たり前でした。無論、女性は働きながらも、家事をして、子育てをしていたので、男性と同様に稼ぐのは難しかったのは事実だけれど、それでも男女ともに働くのが当たり前だったわけです。

 それが戦後の貧しい時代をくぐり抜け、日本が経済成長をして豊かになると、主婦は家事と子育てに専念できるようになり、いつしか女性が働かなくても良い生活になりました。ぞれが昭和の戦後の時代の数年間です。私が子どもだった頃は、まさにそんな時代でした。

 それがバブルが弾けたあたりから、日本の経済成長が鈍化し、生活水準は上がったのに、男性の収入が増えなくなり、生活レベルを維持するために、自然と女性たちも働き始めるようになり、いつしか女性も男性同様に働くようになったのが現代なわけです。

 そう考えると、今の時代では、女性の“専業主婦”という言葉/状況が贅沢な響きを持ち、結婚に際して、女性も男性同様に、稼ぐ能力が重視されるようになったのは、ある意味、日本人として、デフォルトな生活に戻っただけとも言えます。

 歴史を見てみれば、古来より、日本の女性は、実に働き者だったわけで、だから令和の女性が大いに働くようになってのも、当然なのかもしれません。

 しかし、私のような昭和育ちの人間の価値観は古く、ある意味、老害なので、女性が働く事に関して、何らかの違和感を感じてしまうのも事実です。“家事手伝い”とか“(専業)主婦”という言葉が死語になってしまった事に、寂しさを感じているわけです。

 でもね、アニメの世界では、昭和世代の代表であるサザエさんも、平成世代の代表であるミサエさんも、専業主婦でしょ? ほんの少し前までは、専業主婦が当たり前だったわけで、今、新たにホームドラマアニメが作られたら、そこのお母さんは、専業主婦ではなく働くお母さん…なんだろうね。

 令和の時代は、昭和はもちろん、平成の時代よりも貧しい時代になってしまったんだろうねえ。

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