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スーパー歌舞伎「もののけ姫」を見てきた

 さて、プログを再開させます。

 先日、ふらふらと東銀座界隈を歩いていて、新橋演舞場前を通りかかったら、なんと、スーパー歌舞伎「もののけ姫」が上演されているのに気が付きました。「うおっ! なんじゃ、これ!」と思い、さっそくチケットを買い求めて、盆休みの直前の休日に見に行きました。いやあ、あの時期で、そこそこ良い席のチケットが購入できた事は、誠に幸運であったと思ってます。

 さて、スタッフ&キャストを書いておきます。

 原作:宮﨑 駿
 オリジナル音楽:久石 譲
 脚本:丹羽圭子・戸部和久
 上演台本・演出:横内謙介
 協力:スタジオジブリ

 アシタカ/シシ神:市川 團子
 サン:中村 壱太郎
 エボシ御前:中村 時蔵
 ジコ坊:市川 猿弥
 モロの君:市川 笑三郎
 乙事主:市川 中車

 いやあ、さすがはスーパー歌舞伎! 実に面白かったです、素晴らしかったです。とにかく、團子君、大活躍です。澤瀉屋は、團子推しシフトに完全に切り替わったようです。もはや舞台には、猿之助の残滓すらありませんでした。時代は変わっていくんだね。世代交代なんだね。

 ちなみにこの「もののけ姫」は、千秋楽の舞台が生配信される事が決まったそうです(後日、アーカイブ配信もあるそうです)。2026年8月23日の16時の舞台が千秋楽です。この時の模様を、歌舞伎オンデマンドを始めとする、いくつかの配信サービスで配信されます。とても素晴らしい舞台なので、ぜひ多くの人に見て欲しいなあと思います(決して、松竹とか澤瀉屋とかからは、何ももらってませんよ、念のため)。

 ストーリーは、アニメ映画とほぼ同じです…「ほぼ」と書いたのは、私がアニメの方を見たのが、ずいぶん昔で、細かい所を忘れてしまっているからです。私が見たのは、最初に映画館で上演された時だから…1997年以来? もう30年近くも前に見たきりだから、細かいところは、当然、忘れています。

 いやね、歌舞伎に行く直前に、原作のアニメ映画を見直そうと思ったのだけれど、見れなかったんです。というのも「もののけ姫」って、どこの配信サービスでも配信していないんです。外国にいれば、Netflixで配信しているそうだけれど、日本国内向けには、Netflixは配信していません。もちろん、他の配信サービスも配信していません。ジブリ映画って、今や、Blu-rayディスクを購入するか、日テレの金曜ロードショーでたまに放送されるのを見るくらいしか、視聴チャンスが無いんです。そういう意味では、いまやジブリ映画って、希少なアニメ作品である…とも言えます。

 「近所のツタヤでディスクを借りてくればいいじゃん」 まあ、そうなんだけれど、近所のツタヤは、ここ数年で軒並み潰れてしまって、もう影も形も無いんだよ。ツタヤ以外のレンタルショップも無くって…そうなんです、レンタルショップそのものが、ウチの近所に無いんですよ。

 だから見られない。

 まあ、覚悟を決めて、4千円ほど出してディスクを買えば良かったのだろうけれど、なんか躊躇してしまってねえ…そんなわけで、細かい所は忘れたままで、歌舞伎を見に行ったわけです。

 歌舞伎は…ほぼ、私の記憶にある「もののけ姫」のままでした。もちろん、表現媒体がアニメと歌舞伎という違いがあって、今回の上演は、かなり歌舞伎に寄った表現を取っていましたが、まごうことなく「もののけ姫」でした。

 ジブリ作品の歌舞伎化と言うと「風の谷のナウシカ」が先駆的存在ですが、私の感覚では「ナウシカ」よりも「もののけ姫」の方が、ずいぶんと見やすく、こなれた演出になっていたと思います。そこも私が薦める理由なんだけれどね。

 そもそも「もののけ姫」の世界観と歌舞伎の世界観って、親和性があるみたいです。元々のお話が歌舞伎によく馴染んでいるんですよ。

 舞台を見る前は、正直、團子君では澤瀉屋を背負うには、まだ弱いと思っていましたし、実は今でも思っているのですが、この「もののけ姫」に関して言うと、そんな頼りなさがアシタカと重なって、絶妙にいい感じに仕上がっています。この味は、決して猿之助では出せません。そういう意味では、今の澤瀉屋にとって「もののけ姫」は“今まさに丁度良い作品”だったのだろうと思います。それは当然、あと数十年たって、團子君が別の名前を襲名する頃に、もしもこれを再演しても、この味は出せないだろうなあ…とも思いました。

 今だから、の良さが、スーパー歌舞伎「もののけ姫」にはあるんです。

 とにかく、舞台はアシタカ中心、團子中心に仕上がってます。本来のタイトルロールであるサン(もののけ姫:市川壱太郎)は、さほど存在感はありません。むしろ、エボシ御前(中村時蔵)やモロの君(市川笑三郎)、乙事主(市川中車)の方が存在感アリアリです。

 ひとりの強い主人公が舞台を回すのではなく、個性の強いキャラたちの群像劇としての歌舞伎になっていました。そこも良いところです。

 あと、何気にヤックルが大きくて、可愛くて、芝居がかっていて良かったです。たまに、アシタカといっしょに舞台でミエを切っていたのもキュートです。

 最後に…これを書いてしまうと、ぶち壊しかもしれないけれど、スーパー歌舞伎に女形の役者さんって必要ですか? 普段の歌舞伎では全く思わないのだけれど、スーパー歌舞伎くらい、今っぽい演劇に寄せた歌舞伎ならば、女形ではなく、本物の女優さんを使ってもいいんじゃないか? いや、その方が良いのではないかと、思ってしまいました。と言うのも「もののけ姫」では(ナウシカとは違って)女形の良さがあまり感じられなかったからです。こういう芝居をやらせるなら、エボシ御前以外の役は、サンも含めて、女優さんにやらせた方が良かったのではないかとすら思ったわけです。まあ、女形の役者さんのファンの方に怒られそうだけれど、マジでそう思ってしまったのです。ごめんね。

 とにかく、スーパー歌舞伎「もののけ姫」は、とても面白くて素晴らしい舞台だったんですよ、これは間違いがありません。

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